緒方監督が、妻かな子さんに明かした本音

 

誰よりも早く球場に行き、飲みにも行かず、ビデオで打席をチェックする。

カープを優勝に導いた緒方孝市監督(47)。

寡黙な指揮官を選手時代から一番、

近くで見つめてきたのが妻でタレントのかな子さん(43)です。

FA権を取った年、巨人の長嶋監督の元へ行くか悩んだ日のこと。

選手から監督になり「変わったな」と思った瞬間。

かな子さんに指揮官の素顔を聞きました。

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「神ってる」のネタ元は…

元々寡黙なので、私は顔色で今こう思っているなと分かるけど、

周りの人は分からないだろうな。

顔の変化もちょっとだし。

家族で買い物に行っても、主人がトイレに立ったら、話しかけられます。

怖いんじゃないかな。

素直じゃないので、あんまり笑わないし、

むっとしているように見えるけど、そうではないんです。

意外とちびっ子とか、動物とかが好き。

小学5年になる息子とは将棋をしています。

息子の友達が朝来ても、「いやー、早いな、お前」って話しかけています。

鈴木選手が2試合連続サヨナラホームランを打って、

「今どきの言葉でいうなら、神ってる」って話していましたけど、

子どもと遊んでいて聞いていたから、つい言ってしまったんでしょうね。

広島の学校では流行っている言葉。

娘も息子も「あれは私の、僕の言葉でしょ」と聞きにいっていました。

そうしたら、「はあ」と面倒臭そうに応じていました。
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「変わったな、と思いました」

家では、基本的に決まったことを伝えるだけ。

監督就任が決まった時も、

「負けることもあるだろうから、大変な思いをさせることもあるかもしれないけど、よろしく」と言って立ち去りました。

私からは、「もうこれからはみんなの声を聞く人になったのだから、私たちの言うことも聞かないといけないよ」と言ったんです。

今までなら、「いや俺は……」と言い返してきたんですけど、その時は何もなかった。変わったな、と思いました。

シーズン中は家族で新聞の記事を読んで、私や娘が代わる代わる、テーブルに手紙をそっと置いていました。

言い方をこう変えた方が気持ちが伝わるんじゃないの、と。

一度、「選手には『お前を信じているからな』と言っているから、伝わっている」と言い返したときもありました。

落ち込んでいると感じることはいっぱいあります。

でも、本人がそう見せないようにしているので、大げさにしてはいけないかな、と思っています。

現役時代は頑張りすぎる人でした。

故障しても、すぐに復帰するために、1週間付けないといけないギプスを3日くらいでとってしまう。

試合から帰ってくると、ビデオで打席をチェックする。鏡の前で素振りして、バットの出る角度を確認する。

一通り終わらないと、眠らなかったです。やることがいっぱいあるから、お酒も家では飲まない。

自分から外に飲みに行こうとかもないですね。

誰よりも早く球場に行って、体をケアしていた。後輩の奥さんからは、「緒方さんが早いから困っているのよ」と。

コーチや監督になってからも、同じことを言われました。真面目で、全てぬかりなくやりたいタイプ。
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今、他球団の映像も見るし、本も読みます。自分がいいと思ったことは全部やります。

物語だけでなく、宮本武蔵兵法書五輪書」も読んでいました。新聞も全社買ってきていますね。全てが勉強なんです。

結婚してから、相談があったのは、フリーエージェント権をとった1999年のオフだけですね。

「どうしようか悩んでいる。お前はどう思う」って。憧れの巨人の長嶋監督からの熱意も伝わってきて揺れたのでは。

自分の優勝にこだわっていたから、「パパはどこの球団で優勝したいの」って聞いたら、「カープだ」って。

「ただの野球少年がここまでこられたのはカープのおかげ。残って頑張る」と言っていました。

コーチ、監督でカープに残れた。いつか優勝できればいいよね、って家族で応援してきました。

今言ってあげたい言葉は、「パパ、夢がかなって良かったね」です。